◆消費減少の土台に実質賃金の低下が
消費が「反動減」にとどまらない落ち込みとなった土台には、国民の実質所得が減っていることがあります。
18日に厚生労働省が発表した6月の毎月勤労統計(確報)によれば、実質賃金指数で現金給与総額が前年同月比でマイナス3.2%となり、12カ月連続で前年割れとなりました。円安の影響などによる物価上昇が続いていたところに、消費税増税による物価上昇が追い打ちをかけ、実質賃金は4月以降3%を超える大幅減少を続けています。まさに危機的な状況です。
前回、97年の消費税増税時にはその直前まで実質賃金は前年同月比でプラスが続いていました。そこに2%の増税が襲い、それ以降実質賃金はマイナスに転じたのです。今回は、実質賃金が一年近く低下を続けていたところに3%の増税をかぶせたのですから、その無謀さは明らかでした。
安倍首相は賃上げの成果を強調しますが、増えた月でも小数点以下の増加率で、物価上昇よりひとケタ小さい水準です。「経済の好循環」どころか、実質賃金低下の悪循環が起きているのです。
◆消費税増税中止と大幅賃上げを
政府は、「山高ければ、谷深し」と4~6月期に大きく落ち込んだ景気が、7~9月期には「谷深ければ、山高し」とばかりに成長率が高く見えることを期待しているのでしょう。しかしそんな見せかけだけの改善で、来年10月に消費税を10%に再増税すれば、家計と日本経済には取り返しのつかない打撃となるでしょう。増税中止の決断は待ったなしです。そして、賃金と雇用を緊急に立て直すことが求められています。