自民、公明の与党税制協議会は29日、生活必需品などの消費税率を低く抑える軽減税率制度をめぐり、関係団体への意見聴取を実施した。この日を含め合計4回、43団体に対して実施した聞き取り調査では、消費税率10%時の制度導入に対する賛否がほぼ真っ二つに分かれた。賛成派は低所得者対策に不可欠とする一方、慎重派は対象品目の線引きの難しさなどを理由に挙げており、改めて課題が浮き彫りになった格好だ。
29日は日本医師会や日本新聞協会など14団体にヒアリングしたが、消費税率10%時の軽減税率導入を強く主張したのが新聞、出版業界だ。日本新聞協会の白石興二郎会長(読売新聞グループ本社社長)は税率10%への引き上げ時に、新聞に5%の軽減税率を適用するよう要請。日本書籍出版協会の相賀昌宏理事長(小学館社長)も、税率10%段階で出版物に8%の軽減税率を適用するよう要望した。
新聞、出版物に制度の適用を強く求めるのは軽減税率先進国の欧州でも先例があるためだ。日本の消費税に当たる付加価値税が20%の英国は新聞や雑誌の適用税率がゼロ、19%のドイツも7%と文化保護の観点から新聞や雑誌に適用されるケースがほとんど。これを念頭に白石氏は意見聴取後、記者団に「新聞は日本人の知識水準の維持や向上、文化の発展、民主主義社会を守る重要な必需品である」と強調。「読者への負担をできるだけ小さくするという観点からお願いしている」と述べた。
同日の聞き取りでは不動産団体連合会など住宅関連団体も低所得者対策に必要として適用を求めた。一方、日本商工会議所など中小企業の関連団体は「中小、零細企業の負担が増える」として、日本フードサービス協会も「対象品目の線引きが難しい」として導入に反対した。