インドでサッカー熱が高まり、テレビでは国民的スポーツのクリケットに次ぐ人気番組コンテンツとなっている。同国内でサッカーW杯ブラジル大会の放映権を持つソニーシックスによると、同大会の視聴者数は1億人を突破し、2010年の南アフリカ大会の6200万人を大きく上回る見通しだ。現地紙タイムズ・オブ・インディアなどが報じた。
同国はクリケットが広告規模や視聴者数でも他を圧倒する人気スポーツとして定着している。今年3~4月にバングラデシュで開催された国際大会「ICCワールド・トゥエンティ20」はインド全国で1億2000万人が視聴したという。
ソニーシックス幹部はインド国内でのクリケット人気は根強いとしつつも、サッカーの視聴者は11年以降で134%増と急拡大しており、16~69歳の26%が視聴するなど幅広い支持を得ていると指摘。「風向きが変わりつつある」と述べ、将来的にテレビ視聴者数に関してはサッカーがクリケットを上回る可能性があるとの見解を示した。
一方、テレビ広告料でみると、両者の間にはまだ開きがあるようだ。同社によると、今回のサッカーW杯の広告料は10秒当たり27万5000ルピー(約46万4750円)とクリケットのインド国内リーグ「IPL7」の同50万ルピーの半分にとどまる。
1試合当たりの広告放映時間が800~900秒とIPL7の約3分の1であることなどが要因と考えられているが、同社は「(W杯への)広告主の反応は上々だ」としている。今月16日時点でW杯広告枠の8割が埋まっており、完売も時間の問題との見方だ。
地場メディア会社は、国内二輪メーカー最大手のヒーロー・モトコープや化粧品世界大手の仏ロレアル、スポーツ用品世界大手の米ナイキといった企業が番組スポンサーに名を連ねているとし、若い男性を顧客とするブランドにとって魅力的なコンテンツだと分析している。
サッカーW杯を主催する国際サッカー連盟(FIFA)も人口12億を有する巨大市場のインドに注目している。FIFAはインドフットボール協会と選手育成やサッカー振興を支援する覚書を締結しているほか、17年には同国で17歳以下のW杯を開催する予定。この大会に向け、インド政府もサッカースタジアムなど関連インフラの整備を進めるほか、今後は国内での選手育成も加速していく方針だ。(ニューデリー支局)