河南省で、穀物生産農家が使用権を譲渡した土地の4割が、穀物栽培以外の用途に転用されており、その傾向は日増しに高まっていることが、同省統計局がこのほど発表した「河南省農村土地流転状況調査報告」で明らかになった。
全国の穀物生産量の1割を生産する河南省。この穀倉地帯で使用権が譲渡された農地面積は2013年末までに3216万ムー(1ムーは約6.67アール)に上っている。
調査を行った同省統計局の劉露霞氏は取材に対し、「譲渡された土地は、野菜や果物、花卉(かき)などの栽培に転用されるほか、畜産業に使用されるケースもある」と説明。その上で「一度転用された土地は、15~20年経過すると穀物栽培用地に戻すのが難しくなる」との懸念を示す。
農業用地の流動化が認められて以来、農業に従事することを望まない農民は、農地を他の農家や企業などに譲渡または貸し出すことが可能となった。
だが、今回のサンプル調査では、600戸の農家が譲渡した1993ムーの土地のうち4割が穀物以外の栽培や工場用地、企業の建物などに転用されているという実態が浮かび上がった。しかも、100ムーを超える大規模農地については、その割合が6割に上っているという。
その理由について同報告は「穀物生産の収益性の低さ」を指摘する。13年、河南省の穀物栽培1ムー当たりの平均純利益は760元(約1万2464円)。その一方で、農地の使用権を他人に譲渡した場合の7割近くが1ムー当たり500元以上、2割超が1000元以上の収入を得ているというのだ。
こうした現状について、農業省小麦専門家指導グループの郭天財・副グループ長は「この状態が続けば今後、河南省の穀物生産量が深刻な影響を受けることになり、国の食糧安全保障に影響を与える。政府はこの現状を注視すべきだ」と警鐘を鳴らす。
調査を実施した劉露霞氏を含むメンバーらも、穀物栽培地を他の用途に転用することを厳しく規制することを提言している。(中国新聞社)