日本のために今~エネルギーを考える~ 電力危機の真実(9) (3/5ページ)

2014.6.11 05:00

ペルシャ湾を警備する米海軍第5艦隊(米海軍ホームページから)

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 脱石油の柱が原発だった。石油危機の翌年には電源立地法が制定され、全国で原発建設が進んだ。これによって電力業界は火力発電の比率を段階的に引き下げた。火力発電の燃料も、燃焼効率が高く温室効果ガスの排出も少ないLNGを増やしていった。

 石油危機から40年かけて確立を目指した日本のエネルギー安全保障だが、東日本大震災に伴う原発事故で元に戻った格好だ。とくに化石燃料に対する依存度は石油危機時を上回る水準となった。危機後に始まった原油の民間備蓄は半年分に達しているが、火力発電の7割を占めるLNGは貯蔵が難しく、2週間分の備蓄しかない。

 「ホルムズ海峡は日本のエネルギー供給にとって重要であると認識している。もし輸入ができなくなった場合、過去の石油危機の対応などを踏まえて、国民に対する省エネ要請など適切な需要抑制策を講じる」

 これは2年前、ホルムズ海峡が封鎖された場合の政府の対応方針を示した政府答弁の内容だ。海峡封鎖で燃料輸入が途絶する事態になっても、石油危機時に実施した省エネ程度しか打つ手がないことを認めたものといえる。

 日本はいま、平時でも電力需給が逼迫(ひっぱく)している状態にある。原発の再稼働が遅れる中で、今年は「原発ゼロ」で迎える初めての夏になりそうだ。そうしたときに万一、有事が起きればどうなるのか。政府は暮らしと経済を守るためにも、エネルギー安全保障から目を背けてはならない。

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