消費税が8%に引き上げられ、5月1日で1カ月を迎える。庶民の生活を支える商店街の店主らは、価格の据え置きや丁寧な値上げの説明などで顧客をつなぎとめる策に余念がない。しかし、じわりと客足が鈍る上に、来年10月には10%への移行も予定され、不安は尽きない。消費者も家計を切り詰めるなどして対応するが、駆け込み需要が膨らんだ商品では増税前よりも値崩れするなど思わぬ余波も出ている。
700メートル足らずに180店が軒を連ね、昔ながらの情緒ある風景が残っている東京都江東区の「砂町銀座商店街」。1日の訪問客は1万5千人以上に達するとされ、29日も早朝から買い物客が訪れた。
その様子を眺めながら茶葉販売店主の杉本守隆さん(48)は、ため息をついた。増税直前は、普段1パックしか買わない顧客らが、5~6パックも求め、駆け込み需要があった。その反動は大きく、増税後に価格に転嫁すると、客足は鈍り、新茶の時期を迎えた今も増税前まで戻る気配はない。「新茶があるので影響は少ないと踏んでいたが誤算だった」