【アジアの目】包装変更も増税も 裏目に出た喫煙防止策 (2/2ページ)

2014.3.27 05:00

 たばこのパッケージを変えるのではなく、増税による値上げで喫煙を減らそうとしたのが、マレーシアだ。たばこや酒にかかる税金は英語で「SIN(罪)TAX(税)」と呼ばれ、悪習慣にかける税金とされることから、為政者にとっては同じ増税でも痛みが少ないらしい。だからというわけではないが、喫煙者を減らすためという理屈で容易に増税されることが多い。

 ◆違法品が増加

 マレーシアの地元紙ニュー・ストレーツ・タイムズによると、昨年9月にたばこ税を引き上げ、紙たばこ1箱の価格は10~12リンギット(約310~370円)程度とした。これに対して密輸品のたばこは1箱3リンギットと格安のため、取り締まりを強化したにもかかわらず、密輸品の流入が増加したという。

 貧しい地方や低所得者層では、これら密輸たばこよりもさらに安い、香辛料の原料であるクローブを使った巻きたばこ(クレテック)や、他の違法たばこが売れるようになった。

 さらに、たばこは若い世代、特に学生にも広がっている。同紙によると、休み時間に中学校の近くの店でたばこを買って吸っていた生徒の1人は、12歳から喫煙をしていたと話した。

 東南アジア・大洋州各国では、世界的なたばこの生産地であるインドネシアを筆頭に喫煙者が多く、学齢前からたばこを吸い始めたという子供も少なくない。

 麻薬対策には厳しい東南アジア各国だが、たばこは生産性が高く農家にとっては重要な作物だけに、生産を制限するわけにもいかない。マレーシアのたばこ増税も、子供の喫煙を防ぐための対策の一環だったはずだが、違法たばこの増加で、すっかり裏目に出た格好だ。(編集委員 宮野弘之)

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