3年後もやまない原発事故「風評被害」 日本の農産物輸入 41カ国・地域がなお規制 中国は新潟や長野産も全面禁止

2014.3.2 15:08

 東京電力福島第1原発事故から11日で丸3年を迎えるが、日本の農水産品に対する外国の輸入規制はなお残っており、41カ国・地域が現在でも、何らかの規制を行っている。欧州連合(EU)は4月から一部緩和する一方、中国や韓国などは原発事故の影響とは関係ない地域の農水産品について、輸入停止を続けるとみられる。過剰な「風評被害」が消える気配はない。

 農林水産省などによると、現在も規制を行っている41カ国・地域のうち、大半は放射性物質の検査証明書の義務づけなどにとどまっている。事故直後の約50カ国・地域より減ったものの、アジアの中国、韓国、台湾、シンガポールのほか、米国など12カ国・地域は現在も、農水産品の一部輸入停止措置を実施している。

 中でも政府は、日本の農水産品の輸出先としては4位(平成25年)となる中国の対応に苦慮している。福島や宮城といった被災地のほか、東京や長野、新潟など「安全性でまったく問題はない」(農水省)地域も含め、計10都県で生産された農水産品を全面的に輸入停止している。

 また、政府は事故直後に、放射性物質などによる健康被害を防ぐため、被災地の農水産品を中心に出荷を制限した。韓国(同5位)はこれに基づき輸入を停止。しかし、解除後も停止対象としている。これに対し米国(同2位)は日本の出荷制限解除に準拠し見直している。

 一方、EUは4月1日から、東北と関東地方で生産された農水産品の一部に対し義務づけている放射性物質の検査について、東京と神奈川を対象から外すなどの緩和措置をとる。

 政府は放射線に関する空間線量や食品のモニタリング調査などの結果を踏まえ安全性を説明し、輸入規制の緩和を求めていく方針だ。ただ、中韓に関しては「解除の見通しはまったくない状態」(農水省)だという。

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