G20財務相・中央銀行総裁会議について見通しなど元財務官の加藤隆俊・国際金融情報センター理事長に聞いた。
--世界経済の現状は
「米国を先頭に先進国の経済が改善していく。欧州圏もプラスとなる方向性は変わらない。米国の寒波がどの程度の影響を及ぼしているのか分かりにくく、注意が必要だが、基本的には先進国が世界経済を牽引(けんいん)する見方に変更をせまるものだとはみていない」
--1月末以降、混乱した新興国経済をどうみる
「(国債の信用度を反映する)新興国の5年物国債保証料をみると、足元は落ち着いてきている。ただ、国によってばらつきがあり、トルコや南アフリカが悪く、メキシコやマレーシアはよい。国のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を反映しており、新興国は経済政策をきちんとした方向に乗せることが期待されている」
--米国の量的緩和縮小で影響を受けた新興国が米国に批判の矛先を向けるとの見方もある
「新興国が世界経済に占める割合が大きくなり、新興国の影響は先進国にも及ぶ。その意味で『米国は金融政策の変更に際して十分納得のいく説明を』という形の要求が出ることは考えられる」
--日本の立場は
「日銀については、4月に導入した金融緩和策が順調に進んでいることを説明するだろう。消費税率を4月に8%に引き上げるが、政府は景気腰折れに対する景気対策や、6月の成長戦略といった対応をとっていることについて各国の理解を求めるのではないか」