安倍晋三首相は26日午前、靖国神社参拝後に記者団のぶらさり取材に応じ、以下のように述べた。
「本日、靖国神社に参拝をいたしました。日本のために尊い命を犠牲にされたご英霊に対し、尊崇の念を表し、そして御霊安かれなれと、手を合わせて参りました。そして同時に、靖国神社の境内にあります鎮霊社にもお参りをしてまいりました。鎮霊社には、靖国神社にまつられていないすべての戦場に倒れた人々、日本人だけではなくて、諸外国の人々も含めて全ての戦場で倒れた人々の慰霊のためのお社であります。その鎮霊社にお参りをしました。すべての戦争において、命を落とされた人々のために手を合わせ、ご冥福をお祈りをし、そして二度と再び戦争の惨禍によって人々の苦しむことのない時代をつくるとの決意を込めて、不戦の誓いをいたしました」
--12月26日で政権発足1年になるが、なぜこの日を参拝の日として選んだのか
「残念ながら、靖国神社参拝自体が政治問題、外交問題化しているわけでありますが、その中において、政権が発足して1年、この1年の安倍政権の歩みをご報告し、そして二度と再び戦争の惨禍によって人々が苦しむことのない時代をつくるとの誓いを、この決意をお伝えするために、この日を選びました」
--中国、韓国をはじめ靖国を参拝することに根強い批判があるが、どう説明か
「あの靖国神社の参拝はですね。いわゆる戦犯を崇拝する行為であると誤解に基づく批判がありますが、私は1年間、この歩みをご英霊に対してご報告をする。そして二度と戦争の惨禍の中で人々が苦しむことのない時代をつくっていくという決意をお伝えするために参拝をいたしました。もとより、中国あるいは韓国の人々の気持ちを傷つける。そんな考えは毛頭ございません」
「それは靖国神社に参拝をしてこられた歴代の総理大臣と全く同じ考えであります。母を残し、愛する妻や子を残し、戦場で散った英霊のご冥福をお祈りをし、そしてリーダーとして手を合わせる。このことは世界共通のリーダーの姿勢ではないでしょうか。これ以外のものでは全くないということを、これから理解をしていただくための努力を重ねていきたいと考えています」
「また日本は戦後、自由と民主主義を守って参りました。そしてそのもとに平和国家としての歩みをひたすら歩んできた。この基本姿勢は一貫しています。この点において一点の曇りもございません。これからも謙虚に礼儀正しく誠意を持って説明をし、そして対話を、対話を求めていきたいと思います」
--中国、韓国のリーダーに対して直接説明したい考えはあるか
「あの、ぜひですね、この気持ちを直接説明をしたいと思います。戦後多くの首相は靖国神社に参拝をしています。吉田茂総理もそうでありました。近年でも中曽根(康弘)総理、あるいはその前の大平(正芳)総理もそうでした。そしてまた、橋本(龍太郎)総理も、小泉(純一郎)総理もそうでしたが、すべての靖国神社に参拝した総理は中国、韓国と友好関係をさらに築いていきたい。そう願っていました。日中関係、そして日韓関係は大切な関係であり、この関係を確固たるものにしていくことこそ日本の国益だと、そうみなさん信念として持っておられた。そのことも含めて説明をさせていただく機会があれば、本当にありがたいと思っております」
--2年後、3年後と今後も靖国に定期的に参拝したいか
「あの今後のことについて、この場でお話をすることは差し控えさせていただきたいと思います。えー、私は第1次安倍(晋三)政権の任期中に靖国神社に参拝できなかったことは『痛恨の極みだ』と、このように申し上げてきました。それは(自民党)総裁選においても、あるいは(昨年12月の)衆議院選挙のときにおいても、そう述べて参りました。その上で私は総裁に選出をされ、そして総理大臣となったわけでございます。私はこれからもですね、私の参拝の意味について、理解をしていただくための努力を重ねていきたいと思います」
--多くの戦犯の方がまつられているが、戦争指導者の責任に関してはどう考えるか
「あの、それはいままでも累次国会で述べてきた通りであります。われわれは過去の反省に立って、戦後しっかりと基本的人権を守り、そして民主主義、そして自由な日本をつくって参りました。そして今やその中において世界の平和に貢献をしているわけでございます。今後もその歩みにはいささかも変わりがないということは、重ねて申し上げておきたいと思います」