安倍晋三首相は18日、2013年度補正予算案に盛り込まれた中小企業、小規模事業者向け補助金について、賃上げを実施する企業に優先的に支出する方針を示した。東京都内の町工場視察後、記者団に述べた。
首相は13年度補正予算に計上された「ものづくり補助金」に関し、「賃上げした企業に優先的に出していく。茂木敏充経済産業相に指示したい」と強調した。ものづくり補助金は、革新的なものづくりやサービスなどを提供する中小企業に対し、開発費や設備投資費などを補助する制度。補正予算で1400億円を計上した。
首相はこれに先立ち、墨田区のメッキ加工会社「深中メッキ工業」の町工場を視察。同社は、安倍政権発足後の景気回復で受注が増加。業績が改善して積極的に賃上げしているという。首相は視察後、記者団に「(政権の経済政策)アベノミクスの効果が広がり始めた」と述べ、他の中小企業にも賃上げを促す考えを示した。
同社は、携帯電話や自動車向け部品のメッキ加工を手がけており、独自の表面処理技術で世界シェア3割を占める商品もある。
首相の視察を受け、同社の深田稔社長は「アベノミクスは経営者自らが作っていくもの。景気回復を前向きに捉え従業員の賃上げにつなげていきたい」と話した。