インドネシアの経済成長が続くなか、今後、牽引(けんいん)役として期待される製造業発展の土台となる産業人材の育成が急務になっている。
「インドネシアの裾野産業はまだ弱い。中小企業はまだ難易度の高い物の受注ができていない。中核となる人材が圧倒的に不足している」。インドネシア金型工業会の高橋誠会長はこのほど、ジャカルタであったシンポジウムで語った。
◆技能認定の職種拡大
同工業会は2006年、日本人の技術者らが中心となり発足。現在の会員企業数は、日系や他の外資系、地場企業など発足当初の5倍近くとなる約400社に達した。
金型の現地調達率の引き上げを目指し、技術に根ざした人材育成を進めてきた。国家職業訓練認可庁と協力し、国家技能認定試験の職種拡大を図っており、これまでに機械検査、金型仕上げ、設備保全、フライス盤、研削盤、樹脂成形の6つが採用された。インドネシア人インストラクターの育成にも力を入れており、15年に金型現地調達率60%を達成するには技術者500人が必要と試算。日本から専門家を招き、取り組みを進める。
高橋会長は「産業では自分でやってみて覚えることが大事」として、工業高校などで実践の機会を設けることも必要と強調。日本企業の支援も受け、輸入中古機械を高校に設置するなどの提案をしているが、輸入規制が壁になると懸念を示した。