インドネシアは今年、対内直接投資が政府目標の390兆ルピア(約3兆3930億円)を突破しそうだ。同国の投資調整庁によると、今年第3四半期(7~9月期)の投資額は前年同期比23%増の100兆5000億ルピアだった。四半期ベースで100兆ルピアを超えたのは初めて。1~9月期では同28%増の293兆3000億ルピアとなり、同庁のマヘンドラ長官は今年の目標達成は可能だとの認識を示した。現地紙ジャカルタ・ポストなどが報じた。
1~9月期の投資額の内訳は外国からの投資が199兆2000億ルピアで、国内投資が94兆1000億ルピア。外国からの投資を国別の割合でみると、自動車、電気製品分野への投資が続いた日本が19%で最も多かった。
産業別ではサービス業が全体の43%、製造業が40.7%で8割以上を占めた。マヘンドラ長官は「投資対象が天然資源開発から高付加価値産業へと移行している」と述べ、政府が目指す産業構造の転換が順調に進んでいると強調した。
ただし、7~9月期の投資額は前期比でみると0.7%の微増にとどまっており、減速の兆しも表れている。専門家は世界経済の回復の遅れがインドネシアへの投資減速につながっているとし、通貨ルピア安で工作機械などの輸入コストが上昇していることも一因だと分析した。
また、同国は来年4月に議会選挙、8月に大統領選挙が実施される予定。外国の投資家が政治情勢の見極めで投資を控えるとの観測もあることから、同庁も来年の見通しについては慎重で、今年の目標額390兆ルピアから15%増の450兆ルピア程度になると予想している。
米格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズは、選挙によって一時的に投資流入の勢いが落ちる可能性はあるとしながらも、インドネシアは経済が安定し、製造業の競争力も高まりつつあるなど、外国投資家にとって魅力的な要素がそろっていると分析。今後も投資増が続くとの見方を示している。(シンガポール支局)