首相は第1次政権時代、慰安婦問題で昭和天皇を一方的に裁いた民間法廷を取り上げた13年の教育テレビ番組の放送などを問題視。経営委員長に懇意の古森重隆氏(現・富士フイルムホールディングス会長)を任命し、ガバナンス強化に取り組んだ。
NHKはしかし、首相も古森委員長も退任した後の21年4月、看板番組「NHKスペシャル」で日本の台湾統治のマイナス面ばかりを強調した。このため、取材した台湾の先住民らから抗議を受けた。
首相周辺は「NHKには『表向きだけ取り繕っておけば大丈夫』というところがある」とその体質を疑問視する。会長人事を通じ、NHKのあり方を根本的に変えることができるかが問われる。(桑原雄尚)