約5年ぶりに燃料補助金の削減を今年断行したインドネシアで、2014年の燃料補助金支出が増加する見通しとなった。同国の下院が承認した14年予算案の燃料補助金は210兆7000億ルピア(約1兆8120億円)と、今年の199兆9000億ルピアを約5.4%上回った。為替相場や原油価格の推移しだいで支出額はさらに膨らむ恐れがあり、専門家らから懸念の声が上がっている。現地紙ジャカルタ・グローブが報じた。
同国政府は今年6月、財政赤字削減のため、燃料価格の引き上げによる補助金削減に踏み切った。しかし、来年は補助金付き燃料の消費量が今年の4800万キロリットルから5100万キロリットルに増えるうえ、通貨ルピア安などの影響で石油の輸入コストの増加傾向も続くことから、削減効果は早くも失われるとみられている。
政府試算によると、今年のインドネシアの財政赤字は224兆ルピアで、国内総生産(GDP)の2.38%となる見通し。14年予算案ではこれを175兆4000億ルピア、GDPの1.69%に削減するとしている。
しかし、同国の燃料補助金制度は一定の割当量の燃料価格を固定し、これを上回るコスト分を国が負担する方式のため、ここ数年はずさんな割当量管理にコスト高が重なって補助金が予算を超える状況が続いている。