【石平のChina Watch】
先月25日、中国浙江省温嶺市第1人民医院で驚くべき殺人事件が起きた。当医院の耳鼻咽喉(いんこう)科で手術を受けた患者の1人が手術の効果に対する疑問から医院といざこざを起こし、医者の1人を殺し、2人を負傷させた。
数日後、浙江省内の各医院から数百人の医療関係者が温嶺市に駆けつけ「医療暴力反対」の抗議活動を行い、全国数百の医院からも声援する声が寄せられた。1件の医者殺しに対し、全国の医療界がそれほど激しく反応したのには理由があった。今、全国各地で、患者やその家族による医者への暴力事件が多発しているからである。
たとえば温嶺事件が発生した10月中、下旬には、下記のような「医療暴力事件」があちこちで起きている。
17日、上海中医大学付属病院の「重症監護室」で患者が死亡した直後、医院の救急措置に不満を持った親族7、8人が監護室を打ち壊し、医院の全フロアを飛び回って乱暴を働いた。21日、瀋陽医学院奉天医院で、患者の男が自分の手術を執刀した医者をナイフで刺して重傷を負わせ、自分も飛び降り自殺した。