こうした状況を逆に商機とみる企業は、すでに水関連のインフラ投資で動きを見せ始めている。4月には三菱商事などが出資し、マニラ首都圏で上下水道事業を行うマニラ・ウオーターが、今年の設備投資に100億~120億ペソ(約229億~275億円)を投じて水道インフラの充実を図る方針を打ち出した。
また、同社は今後4年間で北部ラグナ州に総工費40億ペソの上水道網を構築し、中部ボラカイ島に総工費25億ペソの下水処理プラントを建設する計画を発表するなど、首都圏以外での事業も加速させている。新たな地域への進出も検討中で、幹部によると、現在は人口50万以上の15都市から選定を進め、いくつかの都市で大規模かつ詳細な事業可能性調査を実施している段階という。
ほかにも、首都圏の水供給が97%をアンガット・ダムに依存している現状を改善する必要性から、首都圏上下水道公社が総工費850億ペソのライバン・ダムの建設を提案するなどしており、今後、同国の水をめぐる事業は多方面で一段と拡大していきそうだ。(シンガポール支局)