インフレ率はフィリピン中央銀行が目標値とする3~5%の範囲内に収まり、低インフレ高成長が持続するため、フィリピン証券取引所の株価指数も急上昇を続け、投資家も強気の姿勢をみせる。ベニグノ・アキノ大統領がアロヨ前政権下における改革を引き続き推進している点も高い評価を得ている。改革がこれまでと同様に進めば、16年までにGDP成長率は8%に達するとの見方だ。
一方、民間投資は低調で、GDPに占める割合は2.75%にとどまっている。停滞する先進国を避け、国外からの投資が大量に流れ込んでいるが、多くは資産運用目的で、不動産価格の高騰を招くとの懸念もある。また民間投資に対する規制や税制も複雑かつ流動的であり、運用リスクが伴うことも伸び悩み要因となっている。
ムーディーズ・アナリティクスの報告書は、さらなる外資誘致のため、外資参入に関する規制緩和や、起業、税制、雇用に関する法整備をフィリピン政府が推進すべきだと指摘している。(シンガポール支局)