続く4~6月期も回復が続くとの期待は強い。「12年度補正予算による公共投資の拡大に加え、輸出の回復による生産増が見込まれる」(第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミスト)からだ。同期の実質GDP成長率について、日本総研の山田久シニアエコノミストは「年率換算で3%程度伸びる」と予想。SMBC日興証券など他の民間シンクタンクの調査でも、軒並み年率でプラス2~3%前後と予測され、増税の条件を満たす可能性が高い。
もっとも、足元のGDPが伸びていても、個人消費などの回復が遅れるなか、実際に増税が行われれば景気の腰を折りかねないとの懸念は残る。1997年4月に消費税率が3%から5%に引き上げられた際には、実質GDPが96年度のプラス2.7%から、97年度にはプラス0.1%と一気に落ち込んだ経緯がある。
このため、安倍首相は今月27日の参院財政金融委員会で「景気に悪影響を及ぼすということになってしまっては(消費増税で税収増を目指すという)本来の趣旨に反する」と述べ、4~6月期のGDPを最大限重視しながらも、物価状況を示すGDPデフレーターなどの経済指標も総合的に勘案して決める考えを示した。