確かに、米エネルギー情報局や英国を本拠とする国際石油資本BPの報告書は、南シナ海中央部~南部海底を中心に(1)中国の60年分の需要を賄(まかな)う石油が眠る(2)サウジアラビアとベネズエラに次ぐ3位の埋蔵量-と分析。中国々営・新華通信社は「南シナ海の石油・天然ガスの7割がたまっている」と伝える。
「掘削リグは動く領土」
しかし、中国メディアが「第二のペルシャ湾」と期待するこの海域は、中国はじめベトナム、フィリピン、マレーシア、台湾、ブルネイが領有権を主張している。
それ故(ゆえ)、厦門(アモイ)大学エネルギー経済研究所中国センターの林伯強・所長は「CNOOCがやらなけらば他国がやる」と、「南下」は必至と見る。CNOOCの王宜林・理事長に至っては「大型深海掘削リグは、中国の海洋石油産業発展を促す、動く領土であり、戦略兵器だ」と野望を隠さない。
だが、深海域が手付かずだったのは、中国の深海底掘削技術の未熟に加え、世界の石油開発資本が複数国による領有権主張を考慮し、緊張下での開発を自重(じちょう)してきたからこそだった。