政府、東電国有化を決定 総合特別計画認定 柏崎刈羽再稼働も (2/3ページ)

2012.5.10 05:00

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 既に拠出した賠償資金なども含めると、政府が東電に投入する公的資金は約3兆4000億円に膨らむ。政府は合理化の進展を見極めた上で、議決権比率を2分の1未満に減らし、早期に国有化を終結させたい方針だ。

 枝野経産相は認定にあたり、「新体制の下で不断の努力をしてほしい」と要求。新会長に就く支援機構の下河辺和彦運営委員長は「全社員一丸となって信頼回復に努める」と応じた。

 値上げ幅圧縮大誤算

 一方、東電は国有化回避の道を最後まで探ったものの、原発事故の賠償や火力発電の燃料費増大で大幅に悪化した財務基盤を立て直すには、公的資金注入を受け入れざるを得なかった。

 東電は、経済産業相の認可が要らない企業向け電気料金を4月から値上げし、さらに7月から家庭向けも値上げできれば、燃料費の増加分は補えるようになると算段。さらに柏崎刈羽原発が再稼働すれば「公的資金は最小限にとどめられ、場合によっては受け入れなくても済む」(東電幹部)と踏んだ。

 だが、東電のもくろみは西沢俊夫社長が「値上げは権利」と発言した不手際なども重なり、あっけなく崩れる。料金制度の見直しを進めていた経産省の有識者会議が1月、原価の算定期間を現行の1年から3年へ拡大したことに伴い、値上げ幅が圧縮されたことも誤算だった。東電幹部は「あれ以来、勝俣会長の闘志も消えた」と証言する。