【石平のChina Watch】
中国は昔から、スローガンが好きな国である。共産党の一党独裁体制下では、党と政府は自らの方針や政策を国民に周知させ、それに従わせるために、いつも何らかのスローガンを打ち出して全国的に広げようとする。元中国人の筆者も物心ついてからずっと、党と政府のスローガンに囲まれて大きくなったような覚えがある。街角や学校の構内はスローガンが書かれている横断幕やポスターで埋め尽くされており、党と政府の「ご宣託」を目にしない日はなかったと思う。
時代が変わればスローガンも変わる。毛沢東時代の中心的スローガンは「一切の反動派を打倒せよ」だったが、トウ小平の時代になると「改革・開放を大いに進めよう」がそれに取って代わり、江沢民政権下では「中華を振興せよ」が台頭してくる。今の胡錦濤政権になってもこの伝統は変わらない。たとえば胡錦濤主席が「協調社会建設」を政策の基本方針として宣(せん)して以来、中国の都市や農村の隅から隅まで、「協調社会建設」というありがたい(?)「お言葉」を内容とするスローガンがあふれている。
某都市の衛生管理部門が、「協調社会建設の精神をもってトイレの衛生管理を徹底せよ」とのスローガンを考案して市内のすべての公共トイレに張り付けたことはネット上でも有名な話だが、当の胡主席がそれを見たら、苦笑するしかないであろう。
経済成長著しい隣国では…
「意思疎通も難しい」と露骨に反感
国民的な「思考の欠如」で「白痴化」とも…
煙や塵が排出基準を満たさず