商業地のみ増税半減、固定資産税の特例見直し案 自公対立で難航も
令和4年度税制改正で焦点となっている固定資産税の増税を凍結した特例措置の扱いをめぐり、政府・与党が、凍結を解除した上で商業地に限り税額の上昇を半減させる案を検討していることが28日、分かった。新型コロナウイルス禍での急激な負担増の軽減策として公明党や国土交通省が要求している。ただ、同案には自民党や財務・総務両省が難色を示しており、年末の税制改正大綱の取りまとめに向けた協議が難航する可能性が出てきた。
固定資産税は土地や建物にかかる地方税。土地の評価額は3年に1度、前年1月1日時点の公示地価で見直し、原則、前年度の課税標準額に土地の評価額の5%分を加算した額が新たな課税標準額となる仕組み。
公明党と国交省は、この加算される5%分を、商業地に限り2・5%分にする特例措置を提案している。
土地の評価額は本来、3年度が見直し時期だったが、2年1月は全国的に地価が上昇傾向にあり、その後の新型コロナ拡大の影響で地価が下がっているのに増税となることへの懸念があった。このため政府は3年度限りの特例措置として、課税額が増えるすべての土地を対象に固定資産税の税額を据え置いた。
国交省は4年度に同措置を廃止した場合、全商業地の約6割が増税、約2割が2年度比で10%以上増税となるとし、税負担の緩和の必要性を指摘。公明党税制調査会の西田実仁(まこと)会長も「商業地(の課税額)は下がっていない」として、新型コロナの影響が続く中、負担軽減策を訴える。
これに対し、自民党の宮沢洋一税調会長は「(業績が)厳しい企業をピンポイントで救済するのは税制ではなく財政だ」と否定的だ。財務省や地方税を所管する総務省も、固定資産税は市町村税収の約4割を占める基幹財源であり本来のルールに戻すべきだと、税負担の軽減策に反対する。
自公間、政府内で主張が対立する構図で調整は難航しそうだが、「来夏の参院選での協力を円滑に受けるため、(自民が)公明の主張を受け入れる公算が大きい」(経済団体幹部)との見方も広がっている。