国内

再開発地区「うめきた2期」、強気の背景に新駅 国内外の人流取り込み

 JR大阪駅北側の再開発地区「うめきた2期」の目玉といえる最上級ホテルブランドが24日正式発表され、令和6年夏の先行開業に向け、同地区の開発は加速することになる。5年春にはJR西日本がうめきたの地下に新駅を開業。13年には同駅を結ぶJR西と南海電気鉄道による新線「なにわ筋線」も開業する。うめきたは国内外からの人流を取り込むことで、新型コロナウイルス禍からの復活を目指す関西全体を牽(けん)引(いん)することが期待される。

 「大阪の観光市場はコロナ禍前よりも成長する。われわれの日本戦略はコロナ禍前と変わらない」

 うめきた2期への進出が決まった最上級ホテル「ウォルドーフ・アストリア」の運営会社、米ヒルトンのソーパー日本・韓国・ミクロネシア地区代表は会見でこう強調した。関西ではコロナ収束後を見越し高級ブランドホテルの進出が相次いでいるが、ソーパー氏は「大阪には依然満たされていない需要がある」と楽観視する。

 うめきた2期は、都市公園を中心にMICE(国際会議場や展示施設)、商業施設、オフィス、ホテルなどが整備される複合型の開発計画。ウォルドーフはMICE施設が設置される南街区に建設され、国際会議などに出席する海外企業や政府要人の宿泊需要を取り込む狙いがある。

 三菱地所、オリックス不動産などの開発企業やヒルトンが強気の姿勢を示す背景に、うめきた2期の地下に開業する新駅の存在がある。同駅には開業時から、現在は大阪駅に停車しない特急「はるか」が停車する見通しだ。

 はるかは関西国際空港と新幹線に乗り継げる新大阪駅を結ぶため、大阪市中心部と新大阪、関空のアクセスが大幅に向上する。さらに13年にはなにわ筋線が開業し、同線がうめきたの新駅にも乗り入れる。新たな人の流れを取り込めるとの見通しが、うめきた2期の開発計画を後押しする。

 政府が9月に発表した基準地価では、コロナの影響でうめきた1期で開業したグランフロント大阪の地価が下落に転じている。しかし、会見したオリックス不動産の高橋豊典専務執行役員は「地価は市場の判断で上下するもの。長期的な視点に立ってうめきたの価値をつくっていきたい」と述べ、懸念を払拭した。

 日本総合研究所の若林厚仁・関西経済研究センター長は「大阪駅周辺は関西経済の最重要拠点であり、その中心がうめきたになる。そのうめきたでの最上級ホテル開業は、ビジネスや観光の質を高めるという点で、関西経済全体にとって意義が大きい」と指摘する。(黒川信雄)