令和4年のコメ生産量は675万トン 農水省試算
農林水産省は19日、令和4年産の主食用のコメについて、需要に見合う生産量は675万トンとの見通しを示した。3年産のコメ生産をめぐっては、コロナ禍による外食向け需要の落ち込みを予想し、他の作物などへ作付け転換した面積は過去最大規模の6万3千ヘクタールとなったが、4年産ではさらに4万ヘクタールの転換に取り組む必要があるという。
農水省は同日の食料・農業・農村政策審議会食糧部会に、コメの需給見通しを示した。
コメの需要は人口減や食の多様化で年10万トンもの減少傾向にある。コロナ禍の外食需要の落ち込みで米価も低迷、今年6月末の民間在庫量は218万トンとなった。このため、今秋収穫の3年産も9月の取引価格は前年よりも下落している。
こうした中、需給見通しを組み立てるにあたり、農水省は7~10月にコメの販売動向調査を行った結果、前年同期比0・65%増と需要は戻りつつあることを把握。この状況から、今年7月~4年6月の需要量を702万~706万トンと前年(704万トン)並みに、4年6月末の民間在庫量は213万~217万トンになると推計。これに基づき、米価安定のための4年産生産量は675万トンが適正規模と見積もった。
農水省によれば、米価安定に資する6月の民間在庫量は200万トンが市場の目安になっているという。4年産生産量が適正規模となれば、5年6月末には民間在庫量が196万~200万トンに収束する見込みだ。
政府は低迷する米価対策として、コロナ禍影響で需要が縮小して在庫になっている2年産の15万トン分について、複数年かけて販売に取り組めるよう、倉庫の保管費用や販売促進費を3年度補正予算に盛り込み、事実上の市場隔離を行うことを決めている。