海外情勢

米が化石燃料支援に原則反対 国際機関運営で指針、脱炭素後押し

 【ワシントン=塩原永久】バイデン米政権は16日、石油や石炭といった化石燃料の開発を支援する国際機関の計画に対し、原則的に反対するとの指針を公表した。米国は世界銀行をはじめ途上国へ融資する国際開発組織の主要出資国。運営方針に影響力を握る立場から、途上国の気候変動対策を後押しする。

 米財務省が公表した指針によると、石油については人道危機などの「まれな事情」を除き、原則的に開発融資に反対する。石炭は採掘や運送、発電など幅広い分野で支援を容認しない。天然ガスは新規開発などに反対する一方、一定水準をクリアした最貧国などへの支援策は認めるという。

 イエレン財務長官は「米国は気候危機に対処する果断で積極的な行動をとる」とコメントし、国際開発機関が化石燃料支援を停止する「明確な道筋」をつけるよう促す方針を強調した。

 米政権は、太陽光や風力の再生可能エネルギーの導入支援などを通じ、途上国や新興国による脱炭素の取り組みを促す狙いだ。化石燃料を使う既存施設でも、二酸化炭素(CO2)回収・貯留(CCUS)技術など温室効果ガス削減につながる施設への資金支援は排除しないとしている。

 バイデン米大統領は気候変動対策を外交・安全保障政策の柱に据えるとの大統領令に署名。イエレン氏は7月、国際開発機関トップと会談し、気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」に沿った途上国の支援策を実現するよう要請していた。