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「GoToキャンペーン」などで人の動きが活発化…「第3波」に戸惑う飲食店 

 新型コロナウイルスは12日、国内の1日当たりの新規感染者数が過去最多を更新した。「Go To イート」が始まり、年末のかき入れ時に向けて客足の回復を期待していた飲食店主は「第3波」の到来に困惑を隠しきれない。一方で今回の感染は「夜の街」に限らず、幅広い年代や場所で広がっているのが特徴だ。専門家は「今がキーポイント」と位置づけ、一人一人が日常生活の中で基本的な予防策を徹底する必要があると呼びかけている。

大阪市中央区の飲食店では、入り口に消毒液を置き、扉も開けて営業していた=12日午後(宇山友明撮影)
大阪府の新規感染者数と主な動き

 「10月になってようやく売り上げが戻ってきたところだったのに、また苦しい経営状況に陥ることは目に見えている」

 大阪市中央区で飲食店を経営する男性(40)は肩を落とす。男性の店では入り口に消毒液を置き、換気のため扉も開放。だが本格的な冬を迎え、これからますます冷え込むとあって「寒い店内にわざわざ来る人はいない。今後、感染対策をしながら、どのように営業をしていくべきか」とため息をついた。

 なぜ、この時期に感染が再拡大しているのか。東京医療保健大の菅原えりさ教授(感染制御学)は、夏以降の感染者が収束しない中で「Go To キャンペーン」などで人の動きが活発化し、さらに気温と湿度が低下したことで「ウイルスが蔓(まん)延(えん)しやすい条件が重なってしまった可能性がある」と推測する。

 夏の「第2波」は若者を中心に感染が広がった。場所も繁華街が多く、大阪府は8月にミナミの一部飲食店を対象に休業や営業時間短縮を要請。東京都も歌舞伎町のホストクラブやキャバクラ店といった夜の街への対策を強化した。

 一方、今回の第3波は様相が異なる。大阪府によると、府内の11月1~10日の感染者のうち40歳未満は44%、40~50代は30%、60~70代は19%と世代が分散した。夜の街の関係者や利用者も全体の15%にとどまった。

 第2波以降で、複数の感染者が確認されたケースでは、会食や旅行だけでなく、マスクを外しての休憩室での会話や、十分な換気をせずに車での長時間移動など、生活に身近なシチュエーションも含まれている。

 菅原教授は「第2波では軽症者や無症状の患者が多かったこともあり、新型コロナへの警戒が緩んでいる人も多い。冬は乾燥しやすいことに加え、寒くて換気が怠りがちになる。今一度、家庭や職場で感染リスクが高まる状況が生じていないか確認する必要がある」と指摘する。

 新型コロナの病態解明はまだとはいえ、インフルエンザは例年、年末にかけて増え、1~2月にピークを迎える。菅原教授は「今が重要な局面。手洗いやマスクの着用といったこれまでやってきた基本的な対策を改めて徹底することで、増加傾向を食い止めなければならない」としている。