経産省、株主総会ネット参加に指針 当日議決権行使を後押し
経済産業省が、インターネット経由で株主総会当日に議決権行使などができるように、企業向けの運用指針をまとめることが分かった。現在は一部企業による総会の中継にとどまるが、ネットを活用して当日の議論を聞いてから議案への賛否を決められる総会を普及させる。株主による経営陣への質問や対話を増やし、総会を活性化させる狙いだ。
2019年8月に発足した法務省や弁護士、産業界の関係者からなる検討会が、通信障害やサイバー攻撃への対策、ネット経由で出席する株主の本人確認などの課題について議論している。経産省はその結果を踏まえ、20年2月をめどに指針の公表を目指す。同年6月の総会シーズンには間に合う見込みだ。
ネット経由で出席する株主総会は米国で年間200社以上が実施しており、英国やカナダなども採用している。株主が遠隔地からでも気軽に複数の企業の総会に出席でき、質問が可能だ。企業側にとっては株主重視の姿勢をアピールできる。
日本ではネット経由での出席について運営ルールが定まっておらず、総会運営をめぐるトラブルを避けたい企業側が導入を見送っている。経産省が指針をまとめれば、それに沿った総会運営によりトラブルが起きる恐れを低減できる。
また多くの株主は総会前に議決権を行使し、当日には既に結論が出ているケースがほとんどだ。経営者の声を聞いた上で議案への賛否を表明する株主が増えれば、当日の活発な議論にもつながる。
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