セーフガード200品目要求 インド、RCEPで対中赤字懸念

 

 年内妥結が見送られた東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉をめぐり、インドが中国からの輸入を念頭に、工業製品など200以上の品目で緊急輸入制限(セーフガード)導入を要求していることが、交渉関係者の話で分かった。インドは、中国からの輸入品に他の交渉参加国より高関税を課すことも主張しており、中国は強く反発。交渉は一段と難航しそうだ。

 インドは、関税削減による対中貿易赤字の拡大を懸念。セーフガードの品目を増やし、3年ごとに内容を見直すよう要求している。参加国は2020年中のRCEP協定署名を目指すが、インドは交渉に期限を設けない方針だ。

 セーフガードは国外からの輸入品が想定以上に増えたときに関税を引き上げたり、輸入を制限したりする措置。11カ国で発効した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)で、日本も国内農業への影響が大きい農産物に設定したが、牛肉や豚肉、オレンジなどに限定している。

 インドの要求について、日本政府当局者は「参加国の理解を得るには、ハードルがかなり高い」と厳しい見方を示した。

 16カ国が11月、タイで開いた首脳会合で、インド政府は、現在の条件では「RCEPには参加できない」として撤退の可能性も示唆した。

 日本は、インド抜きでは中国の影響力が強まるとし、16カ国での妥結を目指す。(ニューデリー 共同)