日韓対立は「文在寅政権に責任」 韓国研究の米権威が見解
日韓対立が国際的波紋を広げるなかで米国有数の韓国研究学者が7日、今回の対立では韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が国内政治のために対外政策を政治利用し、対日関係を犠牲にする形にしたのだとする見解を発表した。同学者は文政権の動きは国交正常化などを取り決めた日韓基本条約に違反するとして「文大統領が国際条約の順守を怠ったことの責任」を批判するとも述べた。(ワシントン駐在客員特派員 古森義久)
ワシントンの大手研究機関「ヘリテージ財団」が7日に開いた「日韓貿易紛争」と題する討論会での最初の論者として登壇した「外交問題評議会」の上級研究員で「米韓政策研究部長」のスコット・スナイダー氏が文在寅大統領を批判するこの見解を述べた。同氏は1990年代からスタンフォード大学やアジア財団で朝鮮半島情勢の研究を続けてきた著名な学者で、韓国や米韓関係の研究では全米有数の権威とされる。
スナイダー氏は今回の日韓対立の原因について「文大統領が慰安婦問題での日韓外相合意に基づく財団を解散し、さらに元徴用工問題での韓国最高裁の判決を放置したことが対日政策を誤らせた」と述べ、日韓対立の原因はまず文政権にあるとの見解を示した。
同氏はさらに文大統領の措置について「韓国の国内政治のために対外政策、対日政策を犠牲にする形で政治利用したが、大統領としては国内、国外の両政策の適切なバランスをとるべきであり、まず慰安婦問題を日韓関係の最前面におくことで自分自身を箱詰めにしてしまった」とも批判した。
いわゆる元徴用工に関する判決についてはスナイダー氏は「三権分立とはいえ、行政トップの大統領には1965年の日韓基本条約を含めて国際条約を守ることや対外政策を含めての総合的な国益を守ることの特別な責任がある」とも述べ、文大統領はその責任を果たさず、外交への十分な配慮なしに対日関係を韓国内の民族主義的感情で押し流すことを許した、という批判を明確にした。
同氏は韓国最高裁の判決による日本企業からの補償金の取り立てについては「韓国の民間が寄付をしてその資金にあてるという案が一時出たが、私はそれに賛成する」とも語り、文大統領の政治的な計算についても「元徴用工などの問題を使って日本側に過去の諸問題での反省を一気に強いることを狙ったようだが、この考えは明らかにミステークだ。日本側を強制的に追い詰め、謝罪などを強いても誠意ある反応が得られないのは明白だからだ」とも論評した。