水産庁、9月の国際会議でマグロ漁獲枠拡大を再提案

 
鳥取県の境港で水揚げされるクロマグロ=5月

 水産庁は、高級すしネタとして人気の太平洋クロマグロについて、9月に米国で開かれる国際会議に漁獲枠の拡大を提案する。昨年は資源枯渇を懸念する米国などの反対で物別れに終わったが、再提案で実現を目指す。昨年の提案より資源減少への影響が大きいとされる小型魚の増枠要求を抑え、各国の理解を得たい考えだ。

 30キロ以上の大型魚で20%、30キロ未満の小型魚で10%の拡大を提案した。日本や米国、韓国、台湾など10カ国・地域で構成する中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)の北小委員会で9月3~6日に議論する。実現すれば日本の漁獲枠は大型魚が最大5858トン、小型魚が4408トンとなる。ただクロマグロの資源量は回復傾向にはあるものの、低水準が続いており、各国の賛同が得られるかどうかは不透明だ。

 WCPFCでは、太平洋クロマグロの資源量が最低水準に落ち込んだことを受け、2015年に各国の操業に上限を設ける漁獲枠を導入。16年には資源量が約2万1000トンと緩やかに回復したこともあり、日本は18年の会合で大型魚、小型魚ともに15%の増枠を求めたが、時期尚早として米国とクック諸島が反対した。

 今回の会合では、日本は17~18年の稚魚数が増加しているとのデータを基に、資源が回復傾向にあると各国に訴える方針。ただ漁獲枠拡大で大筋合意しても、大型魚では日本と韓国、台湾で増枠分の配分をめぐり調整が難航する可能性もある。水産庁の担当者は「韓国が数字に納得しないと増枠自体の話がなくなる。日韓関係の悪化も懸念材料だ」と話している。

 増枠の実現には北小委員会で合意後、12月のWCPFC年次会合で承認される必要がある。

【用語解説】クロマグロの資源管理

 乱獲などで太平洋クロマグロの親魚の量が激減したことを受け、関係国が漁獲枠を設けるなどして回復に取り組んでいる措置。日本近海を含む海域を管理する中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)は2015年に、30キロ以上の大型魚の漁獲上限を02~04年平均とし、30キロ未満の小型魚は半減とする規制を導入。これを受け、国内でも大型魚と小型魚でそれぞれ漁法別や都道府県別に漁獲枠を割り当てている。