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G20、GAFA税逃れ規制に一歩 財務相会議、OECDの作業計画を承認

 米IT大手企業(GAFA)を標的とした「デジタル課税」の新設に向けて、9日閉幕した20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は、経済協力開発機構(OECD)の作業計画を承認した。IT大手が世界で巨額の利益を得ながら課税を逃れている現状を不当と見て、国際社会が歩調を合わせ規制に踏み出した格好だ。

 「(デジタル課税の策定に向け)方向性として、そっちのほうへ動き出した。(議論が)よくここまできたと思う」。麻生太郎財務相は閉幕後の記者会見でこう述べた。

 共同声明は、GAFAによる税逃れを念頭に、「世界規模で公正、持続可能かつ現代的な国際課税システムのための協力を継続する」と表明。20年1月に具体案の大枠合意を目指すOECDの「野心的な作業計画を承認する」とした。

 今後の検討は2つの柱について進める。まず、支店など物理的拠点が国内になければ、その国は課税できないとする国際課税ルールの見直しだ。各国は、国境を越えたインターネットの音楽配信などに課税できるようになる。

 利益の算定方法は、市場でのブランド力など無形資産に着目する「米国案」▽検索エンジンなどの利用者が国内にいれば課税できるとする「英国案」▽ある市場で継続して売り上げを出しているなど「重要な経済的存在」の企業に課税できるとする「新興国案」-の3つが出ている。

 OECDで3案の折衷に向け検討を進める予定だ。

 もう一つの柱では、法人実効税率の最低水準を設け、多国籍企業が低税率国に利益を集めて課税逃れすることを防ぐ。

 ただ、各国への税収配分ルールや課税の重複を回避する仕組み作りなど、「技術的な話は微に入り細に入る」(麻生氏)ため、OECDの専門家部会での検討は複雑になりそうだ。(山口暢彦)