【総合取引所】JPXと東商取が統合合意 世界の投資マネー呼び込み

 
経営統合で基本合意し記者会見する日本取引所グループの清田瞭CEO(中央)、東京商品取引所の浜田隆道社長(右)ら=28日午後、東京・日本橋兜町の東京証券取引所

 日本取引所グループ(JPX)と東京商品取引所は28日、10月の経営統合に向けて基本合意したと発表した。JPXが東商取の全株式を取得し、完全子会社化する。現物株式や証券先物のほか、金や農産物などの商品先物を一元的に扱う「総合取引所」として、世界中の投資マネーを呼び込む狙いだ。

 JPXが6月末~9月、東商取に対してTOB(株式公開買い付け)を実施し、10月に経営統合を完了する計画。JPXの傘下に東京証券取引所や大阪取引所と並んで、新たに東商取が加わる。

 JPXの清田瞭(あきら)最高経営責任者(CEO)は28日の記者会見で、総合取引所の実現について「国際競争力の向上に向けた大きな転機になる」と語った。

 貴金属とゴム、農産物など、東商取で扱っている大半の商品先物を大阪取引所に移す。平成32年度の上期にも実現させたい考えだ。

 デリバティブは現在、証券分野が大阪取引所、商品分野は東商取に上場し、取引できる場や法規制、監督官庁が分かれている。一カ所でさまざまなデリバティブを取引できるようにすることで、東京金融市場の国際競争力向上と低迷する商品先物取引の活性化を図る。

 焦点になっていた原油などエネルギー関連は当面、東商取に残す。未上場の電力・液化天然ガス(LNG)は東商取で上場を目指す。東商取は28日、経済産業省と農林水産省に対し、電力先物の試験上場認可を申請。原油先物などと一体で取引できる「総合エネルギー市場」の創設を目指す。

 東商取は3期連続の最終赤字に陥っている。浜田隆道社長は「総合エネルギー市場を目指す上で、JPX傘下の信用力を持つメリットは大きい」と説明した。

【用語解説】総合取引所

 さまざまな金融商品を一元的に取り扱う取引所。海外には先行事例がある。日本の場合、現物の株式や上場投資信託(ETF)は東京証券取引所、株価指数や国債の先物は大阪取引所、商品分野は東京商品取引所で取引されている。法規制や監督官庁が異なり、分断された状態が続く。