公取、大手ITの実態を一斉調査 アマゾンやアップルなど、取引先も

 

 公正取引委員会は27日、インターネット通販のアマゾンジャパンや、スマートフォン用アプリ販売を手掛ける米アップルなど大手IT企業の実態について一斉調査に乗り出したと発表した。取引先に対し独占禁止法の「優越的地位の乱用」にあたる違反行為がなかったかなどを調べる。27日から取引先への調査を開始。大手IT企業にも聞き取り調査を行う方針だ。独禁法40条に基づく強制調査権限の活用も視野に入れる。

 アマゾンは27日、「依頼があった際には協力する」とコメントした。ネット通販の調査は楽天やヤフーなど国内勢も対象となる。

 アマゾンは5月下旬から全商品を対象としたポイント還元策を実施する方針で、出店者にポイントの原資を負担させる仕組みとする見通し。公取委の山田昭典事務総長は27日の記者会見で「一般論」と断った上で、「出店者に不当なやり方で取引条件を変更するのは、優越的地位の乱用に該当する可能性がある」と指摘し、実態の把握に努める考えを示した。

 一方、今回の調査の対象となるアプリ販売では、アップルとグーグルの米巨大IT企業2社が寡占状態にある。取引しているアプリ開発者側から「販売手数料が高い」といった不満の声が上がっており、取引実態を調査する。

 公取委の調査結果は、大手IT企業の規制に向けて議論している政府の有識者会議に報告。その上で、政府が今夏に策定する成長戦略の実行計画に、規制の具体策などを盛り込む方針。