ベトナム、自然保護区で森林破壊相次ぐ 高価な漢方薬の樹木を乱伐

 

 ベトナム南部の大都市ホーチミン市の北方、カンボジアとの国境地帯のビンフォック省の自然林で、政府による自然保護区として封鎖されているにもかかわらず、森林破壊が続いている。種子が漢方薬として高価で取引される樹木を目当てに侵入者が絶えないことが原因だ。国営ベトナム・ニューズが報じた。

 ビンフォック省では昨年1月以降に124件の違法伐採が摘発された。うち30件が違法木材輸送、28件が森林破壊だったという。さらに同省ドンフー地区では、直径1メートルの大樹24本が不法に伐採されているのが発見された。

 森林管理官によれば、漢方薬で使われる種子「莫大(ばくだい)」を取るのが伐採の目的だ。既に30本の違法伐採が発見された。伐採された木材の総量が35立方メートルを超えるなど、付近の森林地帯は荒廃が続いているという。

 莫大は、伝統的な漢方医学でよく使われ、胃腸障害の緩和と治癒に効き目があるとされる。莫大は1粒で13ドル(約1500円)と高価で取引されることから、莫大の種子がある樹木の違法伐採が後を絶たない。

 地元当局は、違法伐採者を厳しく処罰すると警告し、監視を強めている。

 しかし、山岳森林地帯が広大なうえ、監視員も不足していることから、森林全体を違法伐採から守ることは困難なのが実情だという。(シンガポール支局)