成人年齢引き下げ 高校3年で消費者金融からの借り入れ可能に 若年者の消費者被害防げるか

 
参院本会議で改正民法などが可決、成立し、一礼する上川法相=13日午前

 改正民法が13日に可決・成立し、成人年齢が平成34年4月から18歳に引き下げられることが決まった。消費トラブル対策とともに施行への課題となるのが、若者の“借金被害”をどう防ぐかだ。18歳になったばかりの高校3年生にカネを貸す業者が出てくることも予想されるが、今のところ消費者教育の充実以外の目立った対策はないという。

 全国の消費生活センターなどに寄せられた消費トラブル相談のうち、18、19歳と20~22歳の件数の平均値をみると、20~22歳のほうが2倍弱多くなっている。

 民法では未成年者に限り、親の同意がない契約はほぼ無条件に取り消せる「取り消し権」を認めており、この増加は悪質業者などが20歳になったばかりの若者を狙うためとされる。成人年齢引き下げで18、19歳は取り消し権を失うため、今国会で成立した改正消費者契約法は、「就活商法」や「デート商法」など若者が被害に遭いやすいとされる契約について、年齢を問わず取り消しを可能とした。

 加えて衆議院法務委員会で指摘されたのが、若者の借金被害だ。国民生活センターが今年5月末にまとめた23~29年度の消費者金融やカードローンなどに関する相談は18、19歳の平均が177件だったのに対し、20~22歳の平均では2560件と14倍以上になった。

 金融庁は「未成年者には取り消し権があるので、多くの業者が貸していないからではないか」と分析する。成人年齢引き下げについて、同委員会では参考人から「高校3年生が消費者金融から借り入れることが予想される」との懸念が示された。

 金融庁は「規制は現時点では考えていない」としており、トラブル防止策として消費者教育に期待する。ただ、消費者教育支援センターなどが28年、全国の高校生約3100人を対象に実施した調査では、お金や生活設計について「学んだことがある」との回答は53.4%にとどまっている。

 消費者庁や文部科学省などは32年度までに、消費者教育教材を使った授業を全国の高校で行うなどしていく方針だ。