政府、幼保無償化を半年前倒し 来年10月の方針、対象は「保育認定」受けた世帯限定
政府は31日、当初、2020年4月に予定していた幼児教育と保育の無償化の全面実施を19年10月に半年前倒しする方針を固めた。消費税率の10%への引き上げに合わせて実施し、子育て世帯の負担を軽くする。無償化は認可保育所や幼稚園に加えて認可外保育施設も対象とし、3~5歳児のいる家庭は月額最大3万7000円まで支援する。もっとも、対象は市区町村から「保育認定」を受けた世帯に限られ、不公平感解消に向けた丁寧な説明が求められる。
前倒しの方針は、政府が6月まとめる経済財政運営の指針「骨太方針」に盛り込む。政府の有識者検討会(座長・増田寛也元総務相)が31日に茂木敏充経済再生担当相へ提出した報告書を踏まえ、最終的な制度設計を進める。
幼児教育と保育の無償化は安倍晋三首相が昨秋の衆院選で掲げた公約で、財源には消費税増税による増収分の一部をあてるとした。当初政府は「0~2歳の子供がいる住民非課税世帯」「3~4歳の子供がいる全ての世帯」を20年4月に無償化し、「5歳の子供がいる全ての世帯」の無償化のみ、19年4月から行う考えだった。
ただ、14年4月に消費税率を8%へ引き上げた際に生じた駆け込み需要とその反動減が景気低迷につながった反省から、無償化の全面実施を増税にあわせて行い、子育て世帯の消費減退を防ぐべきだとの意見が政府内で浮上。最終的に、19年10月から全面実施すべきだとの結論に達した。
また政府は認可外保育施設の無償化も行う。検討会の報告書を踏まえ、就労などで保育が必要という「保育認定」を市区町村から受けた世帯に限り補助することにした。補助額の上限は全国平均の月額保育料(3~5歳児のいる家庭は3万7000円、0~2歳児のいる家庭は住民税非課税世帯は4万2000円)とする。
幼稚園の預かり保育や自治体の認証保育施設、ベビーホテル、ベビーシッターなど多様なサービスで無償化を認める。当初サービスによる線引きも検討したが、保護者間で不公平感が強まる恐れがあり、「保育認定」を受けた世帯に限り無償化することにした。
無償化に関し、政府は昨年12月、認可保育所に対して行うことをまず決めたが、認可外はどんな線引きが最適かすぐ意見集約できず今夏の結論を目指し有識者検討会で議論してきた。
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