米中貿易戦争の回避焦点 制裁後初、公式通商交渉スタート
米中両政府は3日、北京で貿易摩擦の問題をめぐる協議を開始した。米国が3月に知的財産権侵害を理由に対中制裁の方針を公表後、公式の通商交渉は初めてとなり、貿易戦争が回避できるかどうかが焦点。中国は対中貿易赤字の大幅縮小やハイテク産業政策の見直しを迫る米国に反発しており、激しい駆け引きが予想される。
米側の代表団にはムニューシン財務長官や通商代表部(USTR)のライトハイザー代表、ロス商務長官らが加わった。4日までの日程で、中国の劉鶴副首相と協議。中国側は鍾山商務相らも参加する見通し。
米側代表団の車列は3日午後、協議会場の釣魚台迎賓館に入った。ムニューシン氏ら米代表団は北京市内のホテルを出発する際、協議で成果を期待できるかとの記者団の質問に終始無言だった。
米側は中国による知的財産権の侵害を取り上げるほか、対中貿易赤字を1000億ドル(約10兆9700億円)減らすよう求めるとみられる。中国側は自動車市場の対外開放に加え、米国からの液化天然ガス(LNG)、農産品などの輸入を拡大する方針で、妥協点を探る。
また、トランプ米政権は、中国が産業用ロボット関連などの先端企業を過度に保護しているとみなし、中国に製造業の振興策を見直すよう要求。中国側は「内政干渉」(商務省関係者)と反発しており、ハイテク分野で折り合いが付くかどうかは見通せない。
中国の国営英字紙チャイナ・デーリーは3日付の社説で、協議で前向きな進展があれば両国や世界経済に利益をもたらすと強調。一方、「米側が中国側の立場に耳を塞げば、米代表団は手ぶらで帰国することになるだろう」と指摘、交渉が難航する可能性も示唆した。(北京 共同)
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