「TPP好ましくない」トランプ米大統領が表明、本音は日本とのFTAに意欲

 

 【ワシントン=塩原永久】トランプ米大統領は日米首脳会談の初日を終えた17日、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)について「好ましくない」と表明し、改めて2国間取引を重視する考えを強調した。政権高官も日本との自由貿易協定(FTA)に強い意欲を示しており、トランプ政権の本音がFTA協議開始を含めた対日輸出拡大策の具体化にあることが浮き彫りになった。

 トランプ氏は安倍晋三首相との夕食会後、ツイッターへの投稿で日本は米国のTPP復帰を望んでいると言及。そのうえで「米国にとっては好ましくない」とし、「2国間取引の方がはるかに効率的で利益になり、米労働者にも良い」との持論を改めて語った。

 フロリダ入りした経済政策の司令塔、クドロー国家経済会議(NEC)委員長も17日、TPP復帰検討は「政策というより、案といった方がよい」と指摘。復帰には再交渉が必要だとの見解も強調した。またクドロー氏はTPPが中国を牽制(けんせい)する戦略になるとの見方を否定しており、対中政策も念頭にTPPの協議を主導してきた日本との思惑の違いが鮮明になった。

 今月から政権入りしたクドロー氏には、投資家の間で米政権が貿易相手国への強硬策に傾くのを防ぐ歯止め役になるとの期待も出ている。しかしクドロー氏も「ある時点で日本とのFTAを実現したい」と述べ、日本が拒んできた日米FTAに強い意欲をみせた。

 トランプ氏は17日、記者団を前に「米国は日本から大量の自動車などを買っている」と指摘している。米政権はあくまで自動車や農産物の輸出拡大を日本との貿易協議の主眼にしているとみられ、通商問題が主に議論される18日に向けて日米に大きな隔たりが残ったままだ。