千葉ノリ復活へ 生産地ごとの振興策初の策定 県や県漁連、ブランド力強化図る

 
富津沖の養殖場で船を使用してノリを収穫する生産者(県漁業資源課提供)

 千葉県を代表する水産物である県産ノリの生産とブランドの力を高めようと、県や県漁業協同組合連合会などは、富津、木更津、千葉北部の主要生産3地区ごとに対策を立てた「県ノリ養殖業生産振興計画」を策定した。ノリ生産の現状や主力産品を細かく分けて調べ直し、県と生産業者らが対策をまとめたのは初。不漁や生産者減で“地盤沈下”した「千葉ノリ」復活の足がかりとしたい考えだ。

 県産ノリは東京湾で採れ、消費者の間では「色よし・味よし・香りよし」と言い習わされてきた人気水産物。高級品は「江戸前千葉海苔」として流通してきた。ただし近年は、国内での生産競争激化による取引価格が低迷。加えて、本県内生産の約8割を占める富津地区では天候不順の影響もあるなど、平成26年に約23万5千枚だった生産枚数が一転、27、28両年は14万枚台と記録的不漁に見舞われる不振が続く。

 こうした地盤沈下を打開すべく、県や県漁連、県海苔問屋協会は昨年1月から連携し、ブランド力強化のための販売対策を協議してきた。「昨年12月に策定した東京湾漁業振興策の柱となる」(県漁業資源課)という今回の県ノリ養殖生産振興計画により、関係者らは販売と生産の両面からブランド力復活を目指す。

 ノリ生産における特色と課題は、木更津や富津岬の北側は北西風の影響が大きい▽千葉北部はノリ加工場の集約が必要-など生産エリアによって微妙に違う。このため、同計画では、地区に合わせたきめ細やかな対策が立てられた。

 富津地区では高速作業船を導入し、養殖作業の効率化によって生産性を上げる▽木更津地区では、沖合よりも生産が安定している干潟での養殖を推進する▽千葉北部地区では知名度が高い「三番瀬」のブランドを活用してPRする-といった対策はその一例。

 県産ノリ生産者らは「千葉のノリは品質が高い」という自負を持つゆえに「その魅力が十分伝わっていない」という歯がゆさを感じてきたといい、同計画による千葉ノリ養殖の再発展効果に期待を寄せている。