フィリピン、模倣品押収額が26%増 17年167億円、最多は電気製品

 

 フィリピンは2017年、模倣品・海賊版製品の押収額が大幅に増加した。同国知的財産庁(IPOPHL)によると、国家知的財産権委員会(NCIRP)の17年の押収額は82億ペソ(約167億円)となり、前年の65億ペソを26%上回った。IPOPHLは18年以降も取り締まりに注力するとしている。現地経済紙ビジネス・ワールドなどが報じた。

 NCIRPは知的財産権の保護を管轄する機関で、IPOPHLをはじめ、貿易産業省、関税局、国家犯罪捜査局、光学メディア委員会など12の国家機関からなる。

 NCIRPのデータによると、17年はフィリピン国家警察と国家犯罪捜査局によって309件の捜査が行われたほか、光学メディア委員会によって2770回の査察が行われるなどした。押収額が最多だった機関は関税局で、全体のおよそ9割に相当する58億ペソに上った。

 押収物で最も多かったのは電気製品で、以下、光学メディア媒体、医薬品、パーソナルケア製品などが続いた。16年は宝石・時計、たばこ・酒、光学メディア媒体、15年は宝石・時計、光学メディア媒体の順番となっており、17年に入って押収品の内容が変化しているのがみてとれる。

 IPOPHL幹部は押収内容の変化について「電気製品や医療・健康関連製品の需要拡大が反映された」と分析し、消費者に注意を呼びかけた。また、押収額が前年を大幅に上回ったことについては「個別の押収品の金額と市場での正規品の価値に左右されるため、年ごとの変動が大きくなる」と説明した。

 フィリピンは模倣品・海賊版製品の市場流入が経済成長の阻害要因の一つとされる。知的財産権の保護強化は競争力向上のうえで欠かせないこともあり、IPOPHLは模倣品・海賊版製品の取り締まりを強化する姿勢を示している。

 18年以降は警察などとの連携を深めるとともに、空港や港湾当局とも協力態勢を強め、密輸などもより積極的に取り締まる方針だ。(シンガポール支局)