【G20】財務省の文書改竄問題で麻生太郎氏欠席 構造改革などアピールできず 政策に影響も

 
閣議を終え記者団の質問に答える麻生太郎副総理兼財務相=13日午前、首相官邸(斎藤良雄撮影)

 麻生太郎財務相が、アルゼンチンで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議を欠席した。学校法人「森友学園」に関する決裁文書改(かい)竄(ざん)問題への対応を優先したためで、日本の成長戦略や構造改革の進(しん)捗(ちょく)状況をアピールできず、政策運営にも影響が及んだ形だ。

 麻生氏のG20欠席で、各国財務相との2国間会談はできなかった。麻生氏は財務省を率いるだけでなく、日米経済対話の日本側トップも務めている。今回のG20では、鉄鋼の輸入制限など米国の保護主義的な通商政策が主要議題となったが、日本を輸入制限の適用除外とするよう米国に直接働き掛ける機会を逸した。

 仮想通貨の規制をめぐる議題では、世界に先駆け導入した日本の仮想通貨交換業者の登録制の取り組みを麻生氏主体で発信する思惑があったが、あてが外れた。今後、改竄問題で麻生氏が求心力を低下させれば国内外の政策にも影響が及びかねない状況だ。日米両政府が貿易やインフラ投資など経済分野を議論する経済対話でも、麻生氏が改竄問題の対応に追われれば会合の日程調整すら難しい。

 影響は国内の税財政政策にも及ぶ。政府は、新たな財政健全化目標の策定作業を6月に向けて本格化させるはずだったが、議論は改竄問題で停滞。来年10月に予定される消費税率10%への引き上げ準備を加速させる必要もあったが、改竄問題で、予定通り引き上げるかどうかについて疑義が生じ始めている。(今井裕治)