米財務省高官「落胆した」 中国の改革停滞を批判 G20に向け対決姿勢

 

 【ブエノスアイレス=塩原永久】マルパス米財務次官(国際担当)は18日、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスでの会合で、中国の経済改革の停滞に「落胆した」と述べ、中国政府による補助金問題などへの対応に不満を示した。トランプ米政権は19日に開幕する20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会合でも、中国側に厳しい姿勢を示す公算が大きい。

 G20はブエノスアイレスで19~20日の日程で開催。ロイター通信によるとマルパス氏は、G20に合わせて開かれた国際金融協会(IIF)の会合で、経済活動に中国政府の関与が強まっている点が「世界にとって気がかりだ」と述べた。

 また、マルパス氏は「巨大経済が市場に背を向けれていれば困難を引き起こし続ける」と指摘。中国政府による補助金や投資規制を批判した。

 米中間の公式協議の場となる包括経済対話について、マルパス氏は会合で、対話が中国の市場開放に結びつかなかったため「打ち切った」と述べた。昨年7月の第1回協議は、鉄鋼の過剰生産問題をめぐる対立で決裂し、それ以降は開かれていなかった。

 トランプ政権は23日に鉄鋼・アルミニウムの輸入制限に踏み切る。マルパス氏はムニューシン財務長官らが中国側と非公式の交渉を続けていると説明。後に記者団に対し、包括経済対話の中止は「正式決定されていない」と述べたが、中国側への強い不満が噴出した格好となった。

 G20では仮想通貨の国際規制も主要議題となる。金融規制をめぐり、G20と連携して対応する金融安定理事会(FSB)のカーニー議長は18日までに、「仮想資産は現時点では金融安定のリスクとはなっていない」との評価をまとめた書簡をG20に送付した。

 取引規模が小さ過ぎるためだとしており、将来的に利用が急拡大すれば、FSBとして評価を変更する可能性があるとしている。