韓国、TPP参加に向け日本と接触 「経済圏の恩恵」に興味、イギリスなども関心寄せる
離脱した米国を除く環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に参加しようと、韓国が事務レベルで日本政府と接触していることが23日、分かった。TPP参加国は2019年の早い時期の発効を目指しており、協定を主導する日本政府もまずは11カ国での発効を優先させる方針だ。
TPPには韓国のほかコロンビアなど複数の国・地域が関心を寄せる。協定文には参加国の拡大が明記されており、発効後に韓国も含めて加入の可能性を検討することになる。
複数の日本政府関係者によると、韓国からの問い合わせがあったほか、タイやフィリピン、英国なども関心を寄せている。米国も1月下旬、トランプ大統領が再交渉を条件にTPPへの復帰を示唆した。
11カ国によるTPP11の協定文では「他の国の加入を歓迎する」と記し、参加に門戸を開く。
ただ、日本政府はTPP11について「ガラス細工のようなもので、変更することは考えていない」(安倍晋三首相)との立場だ。一部を修正すると“玉突き”で変更が必要となり、収拾がつかなくなるからだ。このため、まずはTPP11を発効させた上で、参加国を増やす構えだ。
韓国などがTPP11に関心を高めているのは、アジア太平洋地域に貿易・投資を高いレベルで自由化した経済圏が誕生するからだ。
TPP11参加国の合計の経済規模は世界の国内総生産(GDP)の約14%。米国の離脱で一時は漂流も懸念されたが、1月に協定文が確定し、3月8日にチリで署名式を開くことも決まった。米国も含めた非参加国の間では、TPPの恩恵を自国に取り込めないとの危機感が高まっている。
韓国では、米国などと2国間の自由貿易協定(FTA)を軸にした通商戦略を進めていた。その後、日本のTPP交渉入りを契機に方針転換し、13年11月にはTPP参加国と協議する考えを表明した。だが、米トランプ政権が昨年1月にTPP離脱を表明して以降、本格的な交渉は途絶えている。
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■TPPをめぐる主な動き
2013年7月 日本が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の交渉に入る
11月 韓国政府がTPP交渉参加国と協議を行う方針を表明
2016年2月 日米など12カ国がTPP署名式
2017年1月 米トランプ政権が発足、TPP離脱方針を正式表明。その後、韓国とTPP参加国との本格交渉は途絶える
3月 米離脱後、11カ国が初のTPP閣僚会合
5月 11カ国のTPP閣僚会合が早期発効に向け検討を進めることで合意
11月 11カ国がTPPに大筋合意
2018年1月 11カ国の首席交渉官会合で協定文を確定
1月25日 トランプ氏がTPP復帰検討を示唆
3月8日 チリの首都サンティアゴで11カ国が署名式
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