17年経常黒字、リーマン後最大の21兆8742億円 海外投資・訪日客増が貢献
■海外投資・訪日客増が貢献
財務省が8日発表した2017年の国際収支速報によると、海外とのモノやサービス、投資の取引状況を示す経常収支は前年比7.5%増の21兆8742億円の黒字だった。増加は3年連続で、リーマン・ショック前年の07年(24兆9490億円)以来、10年ぶりの高い水準を記録した。企業の海外収益の拡大に加えて、訪日外国人旅客者の増加で旅行収支の黒字額が過去最大となったのが貢献した。
経常黒字は、比較可能な1985年以降で2007年に次いで2番目の大きさ。経常収支のうち、企業が海外投資から得る利子や配当金の動向を示す「第1次所得収支」の黒字額は、配当金の増加で9.1%増の19兆7397億円に膨らんだ。
訪日客の消費から日本人が海外で使ったお金を引いた「旅行収支」は32.9%増の1兆7626億円の黒字。黒字額は比較可能な8年以降で過去最大だった。旅行者の宿泊費や飲食費、国際貨物の運賃などを含む「サービス収支」全体では7061億円の赤字で、赤字額は過去最小だった。
輸出から輸入を差し引いた貿易収支は4兆9308億円の黒字だった。半導体製造装置や自動車が好調で輸出は11.9%増の77兆1955億円と伸びた。半面、原油価格の上昇などで輸入が13.9%増の72兆2647億円となった結果、黒字幅が縮小した。
同時に発表した17年12月の経常収支は7972億円の黒字だった。黒字は42カ月連続だが、黒字額は前年同月比28.5%減少した。
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