配偶者控除制度、今月から新基準 パート主婦世帯の減税拡大

 
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 配偶者の年収に応じて世帯主の所得税を軽減する配偶者控除制度が1月から変わる。「103万円の壁」と意識されてきた基準を見直し、パートで働く配偶者がいる世帯の減税を拡大する。一方で、世帯主の年収を基準にした新たな所得制限が導入され、世帯主が高所得なら控除額が減って増税となる。

 女性の就労を促して経済成長につなげるのが狙い。政府、与党が昨年末の2017年度税制改正で決めたもので、国税の所得税は18年1月、地方税の住民税は19年6月の納税分から適用される。

 現行制度では、配偶者の給与年収が103万円以下の場合に、世帯主は一律38万円の配偶者控除を受けられる。103万円を超えると代わりに配偶者特別控除が適用され、控除額が38万円から段階的に縮小して年収141万円でゼロになる仕組みだ。

 今回の見直しでは特別控除を拡充。年収150万円までは最大で満額38万円の控除を受けられ、150万円超から201万円にかけて控除額が徐々に減っていくようにする。

 現在は、夫が配偶者控除の対象となるよう、妻がパート収入を103万円以下に抑えている世帯も多い。見直し後は、配偶者がパートの勤務時間を増やして103万円を超えて稼ぐ場合でも、世帯主が減税の恩恵を受けやすくなる。

 一方、世帯主の年収で線引きする新たな所得制限は、年収が1120万円を超えると控除額が段階的に減り、1220万円超でゼロとする。高所得世帯に負担増を求め、全体として国の税収が減らないようにする。

 この見直しは所得税改革の第1弾となる。政府、与党は昨年12月に決めた18年度改正に、20年1月から基礎控除を増額、給与と年金の控除を減額する第2弾を盛り込んだ。子供や介護が必要な家族がいない年収850万円超の会社員らは増税を強いられる。

 15年に所得税の最高税率を引き上げて以降、高所得層を狙い撃ちした増税が度重なる。