先物取引開始にらみマネー流入が加速か 仮想通貨「ビットコイン」初の200万円突破

 
ドル紙幣の上に置かれたビットコイン(ロイター)

 インターネット上で取引される仮想通貨の一種である「ビットコイン(BTC)」の価格が急騰している。8日には国内の主要取引所で、初めて1BTC=200万円を突破した。11月下旬に100万円を超えてから2週間足らずで2倍を超えた形で、短期間で節目を塗り替えた。米取引所で近くBTCの先物取引が始まることから、市場拡大につながるとの期待で投資マネーの流入が加速し価格を押し上げたようだ。

 仮想通貨の取引所を運営する「ビットフライヤー」によると、8日午前に一時1BTC=230万円台に乗せた。12万円前後だった年初と比べて20倍弱となる。また、調査会社の「コインデスク」によると、ドル建てでも8日に一時1BTC=1万7千ドルを突破し、この1カ月で約2.3倍となった。

 ただ、最近は急ピッチの上昇が続いており、高値更新後は円建てもドル建ても一時は大きく値下がりし、乱高下する場面があった。

 急騰した一因とみられるのが、BTCの先物取引の開始を控えていることだ。米シカゴ・オプション取引所(CBOE)は10日、米CMEグループは18日、それぞれBTCの先物取引を始める。こうした動きをにらみ、BTC市場の拡大への期待から、投資家の買いに一段と弾みがついたようだ。

 BTCなどの仮想通貨をめぐっては、東京金融取引所の太田省三社長も1日、法律上の金融商品として位置づけられるのであればと前置きした上で「可及的速やかに先物を上場したい」と述べた。法律や経済の有識者からなる研究会を設立し、来年1月にも初回の会合を開く方針だ。

 BTCは危うさもはらむ。仮想通貨の場合、株式投資で株価が企業の利益水準に対して割高か割安かを判断する「株価収益率(PER)」のような目安がないため、投資家の期待先行などで値動きが大きくなりやすい。米商品先物取引委員会(CFTC)のクリストファー・ジャンカルロ委員長は1日の声明の中で、BTCの市場には「価格変動や市場参加者の取引慣行をめぐる懸念が存在する」と言及した。

 BTC価格の上昇を反映して、送金手数料も上がっているようだ。送金手数料はBTC建てとなっているためで、国内の大手仮想通貨交換業の中には銀行を超える手数料となった企業も出ている。(森田晶宏)