高所得者の増税検討 宮沢洋一・自民税調会長、30年度税制改正で

 
会見する自民党の宮沢洋一税調会長=13日午後、東京都千代田区の日本記者クラブ(桐原正道撮影)

 自民党の宮沢洋一税制調査会長は13日、東京・内幸町の日本記者クラブで記者会見し、収入の多い会社員や年金受給者に対する所得税増税を平成30年度税制改正で検討する方針を表明した。高額所得者の給与所得控除の上限額や、年金控除額の引き下げなどを目指す。宮沢氏は「一番時間をかけるのは所得税の改革だ。それなりの結論を出したい」と述べた。

 宮沢氏は、現在の日本の給与所得控除は年収が1千万円を超すと控除額が220万円で頭打ちになるが、「世界的に見ても、かなり高い」と指摘。高所得を得ている富裕高齢者の年金控除も「若い人に比べて、恵まれた税制になっていることは確かだ」と述べた。ただ、生活への影響に配慮し「最終的な形(で改革方針を示す)か、10年、20年で見たときの(改革の)第1弾にするのかを見据え、作業を進めたい」と慎重に検討する考えを示した。

 また、高齢化が進む中小企業の若返りを促すための「事業承継税制」を拡充する方針を表明。宮沢氏は「この10年間に徹底的に(中小企業の経営者の)世代交代を進める」と述べた。賃上げ率が高い企業の法人税を優遇する措置の拡充にも意欲を見せた。

 宮沢氏は、安倍晋三首相が示した32年度に基礎的財政収支(PB)を黒字化する財政健全化目標の先送りにも言及。「PBだけではなく国債費についても考えるべきだ。日本の財政全体を分析するような議論をそろそろやらないといけない」との認識を示した。