米FRB、早期の資産縮小を示唆 利上げは見送り
【ワシントン=小雲規生】米連邦準備制度理事会(FRB)は26日の連邦公開市場委員会(FOMC)後に発表した声明で、景気を冷やす効果がある保有資産の縮小について「比較的早期に」始めると表明した。これまでの「年内に着手」から表現を前進させた形で、次回9月のFOMCで資産縮小開始を決めるとの見方が強まっている。一方、主要政策金利の誘導目標には変更を加えず、1~1・25%に維持することを決めた。
FRBは2008年のリーマン・ショック後、景気刺激策として米国債などを買い取って市場に資金を供給する量的緩和政策を実施。その結果、保有資産は約4兆5千億ドル(約500兆円)まで膨らんだ。イエレン議長は6月のFOMC後の記者会見で経済状況の安定を踏まえ、「資産規模を通常の状態に戻す」と説明していた。
FRBは今回の声明のなかで「就業者は着実に増加している」と評価。さらに個人消費や企業による設備投資も拡大を続けているとして、足下の景気に自信を示した。1~3月期の成長率は1・4%と低水準に留まったが、市場では28日に発表される4~6月の成長率(速報値)は2・6%に加速するとみられている。
ただしFRBは声明で物価上昇率については「減少している」と強調。目標の2%を下回り続けていることに懸念を示した。FRBは年内にあと一度の利上げを行うと示唆しているが、金融市場ではFRBが12月のFOMCまでは利上げを見送るとの見方が多い。
FRBは雇用情勢の改善を背景に今年3月と6月に政策金利を引き上げた。しかしその後発表された5月の物価上昇率は1・4%。イエレン議長は今月の議会証言で「今後数カ月は物価動向を注視する」として、追加利上げに慎重姿勢を示している。
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