国内旅行消費、有給3日で9213億円増 キッズウィークでの取得促進
働く人の有給休暇(有給)が年3日増えた場合、宿泊費や飲食費、交通費などを合わせた国内の旅行消費額が9213億円押し上げられるとの試算を政府がまとめたことが23日、分かった。“爆買い”が話題となった訪日外国人の年間消費額の約2割に達する規模だ。政府は小中学校の夏休みなどの一部をずらし大型連休とする「キッズウイーク」を2018年度に導入するが、子供に合わせ親が休みを取ることが重要になる。試算結果などを根拠に、有給取得の意義を訴えたい考えだ。
働く人の有給取得日数は10年以降、年8.6~9.0日で推移しており、政府は18年度に前年度比「3日増」に高める方針を固めている。試算は昨年12月に企業を対象にしたアンケートや各種の政府統計などに基づいた。
総務省の労働力調査で把握できる正規職員数に、アンケートで「(有給が増えた場合)1泊以上の国内旅行する」と答えた人の比率などを掛け合わせると、宿泊旅行客は新たに1306万人、同行者を含めると3254万人に達するとの結果が出た。
これに、平均旅行単価などを加味すると旅行消費額は9213億円で、16年の訪日客の旅行消費額(3兆7476億円)の25%に達する。宿泊費だけでは2837億円に上るという。
旅館・ホテルの利用客室数は2932万室増え、宿泊施設の平均客室稼働率は16年の60%から65.8%へ上昇する見通しだ。ホテル、旅館などの正規雇用の比率が約1%押し上げられる。
政府は官民の合同会議で、キッズウイーク導入に向けた検討を始めた。企業に有給増加の協力を促す方針で、水面下では各地の商工会議所などを通じ打診を始めている。
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